運命の人。


今日は入学式。


そう、はじめて高校に行く日なのだ。



「だから遅刻なんてしたくないのよ…」



なんて独り言を言って
朝ごはんのトーストを口にくわえながら家を出た。



息切れしながら学校に着くと、
もうほとんどの人が、
クラス順と思われる列で並んでいた。



「朝香~っ」



「…?杏里!!」



誰かに呼ばれてあたりを見回すと
杏里がこっちを笑顔で見て
私のことを手招きしながら呼んでいた。


急いで杏里のところに行くと
「ここ、ここ、」
なんて言って自分の前を指した。


私はそこにすわって杏里の方を向くと、



「朝香は1年2組だよ」



って言ってクラスを教えてくれた。



…私だったら絶対教えないな…


なんて思って杏里にお礼を言って
前を向きなおした。




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