戦場駆け征く
『戦争を終わらせる為にする戦争なんて、ただの鼬ごっこだ』

部屋の香には馴れた筈なのに、何故か頭が酷く痛んだ。

『俺は両親を亡くして兵士になろうと思った。戦争を無くすには玲が天下の覇権を手にすれば良いと思ったんだ。玲の天下取りに、兵士一人分でも加勢したかった』

男の目を見ることが出来ずに、漣犀は目を泳がせた。部屋に飾られた睡蓮の絵が目に入った。

『国府に仕官して、俺は玲の兵卒になった。名将と讃えられる、程参様の部隊に所属することになって、訓練を積んだ。それから直ぐに戦いは始まった。お前はずっと此処に居たから分からないかも知れないが、鴻という国から攻撃を受けた玲は、報復の戦いを始めたんだ。体のいい併呑の足掛かりだった。それが俺の初陣』
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