戦場駆け征く
漣犀は寝台から起き上がり、足を崩して座った。勿論、身体を隠す事などはしない。

『それがな、戦場で訓練なんか意味が無いんだよ。
 あれ程辛い訓練だったのに、それに加えて、両親に叩き込まれた武芸も、身体に染み付いていた筈だったのに。…一つも、動けないんだ』

彼の首筋に細くて白い腕を絡ませる。
抱き締めると、染み付いているのか微かに血の匂いがした。
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