戦場駆け征く
――――堂々と佇む、一騎。



風に馬の鬣をたなびかせ、槍をしっかりと握り。後ろに構えるのは百人よりも少し多い兵士達。それぞれが槍や弓を携え、兵科はばらばらであった。

しかし、なによりその、威圧感。

武神と言えるような雰囲気を醸しながらも、その老顔は王たる威厳も兼ね備えていた。


「――玲の方々。何故この小国に参られた」

「簡単なことだ。陛下に天下を与えるため。貴殿はもう、降伏する権利すら持たぬぞ!」

騎兵隊長が声を張り上げた。

「では私は王として、珪に殉ずるしか無いようだな―――」

かかれ、の声で一斉に武器を構えた兵士団。走り出す騎兵隊。珪王が後ろに下がったのが見えた。

―今持っているのは槍でなく、弓。敢えて最期まで、兵に援護するか。

漣犀も駆け出す。周りを見れば、欠けている顔もある。しかし、自分は生きて戦っている。戦うことが、彼等への手向けだ。
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