戦場駆け征く
意味の分からぬ叫び声を上げながら、敵陣へと走る。

偃月刀を振った。刃を止められる。まずい、と思った。今背後から切り付けられたら―――


剣が空を切る様な音がした。

首は飛ばぬ。むしろ、漣犀の偃月刀は刃を止めていた兵士の喉を切り裂き、更に背中に悲鳴を聞いた。


「漣犀、まだ死ぬなよ」


耳に慣れた、友人の声。邑丁が、兵士の胸を剣で貫いていた。乱暴に引き抜いて、また何処かに走り去って行った。

今、自分は死んでいた筈だったのだ。

この命は、邑丁が助けた。


漣犀は小さく礼を呟いた。
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