ドーンッッッ!!
「おい…お前…」
弓に矢をかけて狙いを定める空澄に、多少の殺気を感じる。
何も知らない俺にも分かる。これは、捕らえるつもりでの行動じゃない。
「コイツは、ここにあっちゃならない存在だ。
アローマデンクの人達は、拘束して、ここに来た理由を聞き出すつもりだろうけど…。
僕たちの目的は、最初から“抹消”する事だから。
消えてしまえば、取りこまれた感情は全て持ち主に返る筈。危害を加える存在も無くなって、一気に解決する。……それが、上からの命令だから。
キミ達の目的を利用する形になって、ごめんね」
最後は、ルナに放った言葉だろう。
ルナは、暫し無言でいたが、最後には
「…いえ、良いんです。私たちへ下った命令も、上からの物です。
でも、その上であるデブラを信用する事が出来なくなった今、忠実に実行する義理はありません。
私では何もできませんし、ここは空澄に委ねます」
そう言って、目を伏せてしまった。
「ありがとう」
一瞬だけ表情を崩した空澄だったが、直ぐに冷酷な目をガンノードに向ける。
何だかそれが、耐えられなかった。
「おい、それじゃあコイツの意思はどうなるんだよ…!
ルナ!!話せば分かるかもしれないって思ったから、捕獲する事にしたんじゃないのか…?
なら…」
「それは
キミの意思だろう…?
話せば分かるかもしれない、なんて 彼女たちは一言も言っていない筈だ。違う?
…そうだとしたら、その考えは無意味だ。
だって、キミはさ…。巻き込まれただけの、ただの人間(ヒト)なんだから。
発言権は無いに等しい」