短編集 cafe an
ふと
谷原さんはカップを置いて真剣な表情になった



スチームした泡を見つめて何やら思い悩んでいる



「どうかしました?」


声をかけると
ハッとした様子で谷原さんは顔をあげた


「何でもないの…ちょっと…。

…また、来るわ。ご馳走さま。」


足早に去っていく谷原さんの横顔が


今にも泣き出しそうで


私は目を離す事ができずに
谷原さんの出ていったドアをしばらく見つめていた
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