Call My Name
俺はトールを睨むと、胸倉を掴んだ

「お前ら…何を考えてるんだっ。瑞那を脅して、何をするつもりでいる?」

「あ、いや…俺らは、ただ立宮弟のためを思って」

「は? ふざけんな。俺のためを思ってだと? 俺が脅せと頼んだか? 俺が、瑞那を菅原から奪えと言ったか? 勝手に解釈してんじゃねえよ」

トールを壁に叩きつけると、「ちっ」と舌打ちをした

ふざけるな

俺はもうあの二人に何もしてほしくないんだ

瑞那が、菅原を選んだ

それでいいじゃないか

瑞那はもともと菅原が好きだった

菅原も、瑞那が好きで俺から奪おうと行動した

それでいいだろ

二人は想い合っている

それがわかって、良かったじゃないか

なんでそれを引き離そうとしているんだよ

独りは寂しい

独りは辛い

それを俺は知ってる

だから俺は、瑞那に独りの寂しさを味わって欲しくない

「あんな一年坊主に負けていいんですか?」

トールが俺を見上げて、笑う

「馬鹿か? 勝ち負けじゃねえだろ。瑞那が、菅原がいいと言っただけ。それだけだ」

「はあ…、なんかツマンねえの。立宮弟って、腰ぬけじゃん」

トールが、呆れたように声をあげた

俺はトールを殴った

「ツマンねえのは、お前のほうだ。人間としてサイテーだな」

俺は携帯をポケットに入れると、サイテー集団に背を向けた

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