ケータイ小説ストーカー

その答えは至ってシンプルだった。

ケータイ小説文庫の運営スタッフは、周辺が煩い作家を嫌う。例え本人がそうでなかったにしても、わざわざ火中の栗を拾う必要は無い。


今や、作家の中心は中学生だ。作品に大差は無い。少し手心を加えて特集やオススメとしてピックアップすれば、直ぐに人気作家になる。

代わりはいくらでもいる。


誰も口に出さなくても、こんな事は利用者は皆知っている。

だからこそ、人気作家に摺り寄り恩恵に預かろうとするし、噂の真偽に関わらず煙たい作家からは遠ざかる。

巻き込まれて、自分まで書籍化や人気作家になる野望を打ち砕かれたくないからだ。


花音も頭では分かっていた。

理屈を理解はしていたが、現実にケータイ小説サイトの冷風に曝され失望した。


「もう何か疲れた。退会しようかな…」


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