天使の羽が降る夜に
神へのルート

未紅



聖夜さんのビックリした顔が気になったけど・・・とにかく舜の魂を運ばなくちゃ。

私はルートの入り口に入ると・・・息を呑んだ。

ここを・・・・・行くの?

私の目の前に広がったのは、果てしなく続く暗い道と雷鳴・・・。

まっすぐな道のはずなのに・・・出口が見えない。

・・・ダメかもしれない・・・届けることが出来ないかもしれない・・・。

私は舜の魂の入った袋をギュウっと抱きしめて目を閉じる。

『未紅・・・』

大好きな舜の笑顔。

優しく温かいぬくもり。

『りっぱな天使になるんだぞ』

交わした約束。

『‥‥愛してるよ』

自分の命より私の未来を大切にしてくれた舜。

私に優しさと強さを教えてくれた舜の為に・・・。


・・・・行く!

息を思いっきり吸い込み・・・羽を広げた。

そして私は神へのルートを出発した。




「うっ・・・・きゃ・・・・」

風が強く気が緩むと飛ばされそうになる。

雨は針のように私の体を突き刺す・・・。

「はぁ・・・・はぁ・・・」

痛い・・・苦しい・・・。

それでも聖夜さんが被せてくれたマントがあって良かった。

そのおかげでなんとか前に進めてる。

・・・そして首からかけた袋も。

飛ぶことに集中できるから。

・・・それにしても痛い・・・。


その時

ピカッ・・・と光ったと思ったら

「うぁ!・・・うう!!」

ビリビリっと何かを感じた瞬間体に衝撃が走る。

雷に触れてしまったようで・・・マントが少し切れてしまった。

切れたところから雨が入る・・・痛い・・・。

「はぁ・・・・はぁ・・・・痛い・・・苦しい・・・・」


どのくらい進んだのだろうか・・・・全く前が見えない。

出口なんて程遠い・・・。

痛さと苦しさで・・・意識が飛びそうになる。




< 73 / 106 >

この作品をシェア

pagetop