天使の羽が降る夜に

体が動けるようになったと同時に私は大天使への昇格を果たした。

舜・・・・あなたとの約束・・・忘れてないよ。

私は天使として頑張ってるよ。

聖夜とは微妙な関係が続いてる・・・最近接し方が変わってきたように感じるけど・・・・。

あれから時間がたつにつれて色々なことを思い出す。






昔・・・私は聖夜が好きだった。

カッコよくて、成績優秀で、優しくて・・・それに追いつきたくて一生懸命頑張ったの。

でも、聖夜は私のこと本当に好きにはなってくれなくて・・・どうしても振り向いてほしかったけど・・・叶わなかった。

夫婦になることが決まってたけど・・・不安だった。

そんな時聞いてしまったの、聖夜と同じ仕事をしている仲間との会話を・・・。

「聖夜、未紅ちゃんと夫婦か羨ましいな」

「・・・そうか?俺は別に誰でも変わらないけどな」

「げっ・・・そうなのかよ」

「俺・・好きとか・・そんなの分からないし」

「はぁ~・・・未紅ちゃん可哀想・・・」

「未紅は俺の最高のパートナーなんだよ・・・それだけだ」

・・・そう、聖夜にとって私は仕事の上でのパートナーでしかなかった・・・。

分かっていたはずなのに・・・聖夜の口からはっきり聞かされ、私の心にあった僅かな希望もなくなった。

・・・悲しくて寂しくて、どうしようも無い時・・・あの絵を見つけたんだ。

「彼の絵を残してあげたい」

これは本当だけど・・・そのときの私は消滅したかったのかもしれない。

誰に何を言われようと私の気持ちは変わらなかったから・・・。

聖夜も一応は止めてくれたけど・・・それほど本気ではないことも分かっていた。

悲しい気持ちを抱えたまま私は消滅した。

その寂しさが命を延ばした人に伝わってしまったのかもしれない。

私の命を受け取った人の魂が黒く汚れてしまたのは・・・私のせいかもしれない・・・。



考えれば考えるほど、自分の愚かさに気がついて嫌になる・・・。

そう考えると舜は本当に凄い人だった。

自分の運命をそのまま受け入れて・・・私のことも導いてくれて・・・。

私はそっと耳につけているピアスを触る・・・。















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