マジック・エンジェルほたる

  通路の掲示板に張り出された成績表の順位をジッと見て、ニヤニヤしているのはもちろん蛍だった。そんなにたいした順位ではない。しかし「お馬鹿さん」にとっては奇跡的な順位でもあった。ー学年で82位だ。
「へへへへへへ…っ」「やっぱり、さあっ。あんた絶対にカンニングしたでしょう?」
 となりでジッと順位表を見ていた由香が、そう嫌味っぽく尋ねた。「あんたが学年で82位だなんてさぁ…、まさに、ミラ……ミラージュ…ねっ!」
「もおっ、何をいってんだかぁっ。そういうのを負け惜しみっていうのよォーっだ!」
 蛍はニヤリと言った。由香は癪にさわって、「だ、誰がっ?!誰があんたなんかに!!」
 と、顔を赤くして怒鳴った。
 フト、ほとんど何の存在感もなく、一人のちいさな美少女が歩いてきて、順位表の前で立ち止まった。この女の子は、いつでも学年トップの成績をとっている「知的レベルの高い」お嬢さん、だ。…蛍たちとは人間が違う。
 知性と教養と才能にあふれ、しかも美貌をも身につけたチャーミングな美少女だ。男の子なら誰もが好きになるような、可愛らしくておとなしい文学美少女…である。いや、秀才少女である。知性的というと、どこか「冷酷な人間」のようにも考えられるが、そんなことは微塵もない。この美少女は、他人の痛みを知る…博愛に満ちた性格なのである。だけど、その分、おとなし過ぎていつもチャンスを逃してしまうほどナーバスでもある。
< 27 / 192 >

この作品をシェア

pagetop