恐い‥けど好き..




アタシはますます一夜の言葉が

理解できなくて、

頭を上げてもらってから

話しかけた。

「一夜、意味分かんない。なんで一夜が謝るの?」

一夜は悲しそうな顔で

アタシの方を見て答えた。

「覚えて‥ないか?‥俺の‥顔。」

混乱しながら、話しを続けた。

「会った事が‥あるの‥?」


泣きそうな顔で

一夜が口を開いた。

「昔‥‥あの倉庫で‥‥お前を‥殴っ‥た‥」



その瞬間、頭に衝撃が走った。

一夜の一言でアタシが

閉じ込めていたハズの記憶が

溢れ出して止まらなくなった‥

忘れない、忘れられない。

襲われて‥抵抗すると

容赦なく叩かれる日々の中で、

死に物狂いで逃げていたあの日

そうだ‥‥‥‥

初めて、襲われずに

安全な所まで送ってくれた

あの人の顔、

一夜に‥‥‥‥そっくり。








嘘‥‥‥。












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