ラバーズキス
‥* 2人の関係 *‥
みんなで泊まり掛けで出かけた日から1週間、アツシからの電話はプツリと途絶えた。バイトも身が入らないあたしを心配してセイジが飲みに誘ってくれた。
「言いたくなったらでいいよ~」と、いつもの口調で言われると、あたしは涙が出た。
「ちょっ…どした!?」
「ごめ…ん」
あたしは、この1週間泣きたかったのかもしれない。次から次へとこぼれる涙が、溢れてしまったアツシへの想いのようだった。
そんなときにあたしの携帯がなった。
「“彼”じゃね?」
セイジはあたしに「話な」と言って席を外してくれた。
「…はい」
「りん?…ん?なんか騒がしい。外か?」
受話器から聞こえてくるアツシの声はいつもと同じで、こんな想いをしていたのはあたしだけなんだと、思いしらされた。
「友達と飲みに来てるの」
「友達?和希か?」
「へ?」
なんで和希の名前が出てくるのか不思議で間の抜けた声になった。ふっと、アツシの笑った声がした。
「いつものりんだな。久しぶりに声聞けた」
そして、
「お前の大学の前って、車停めてても平気?」
「は?」
話があちこちに飛んで意味がわからない。
「ここだと静かだから寝れそうだな」
「ここって…」
「だから、大学の前。お前、酔ってるのか?話聞い
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