ダンディ★ライオンの秘密の恋愛講座
「俺は、どんな人間も演じきれる自信がある。
 兄貴の腕があれば、顔は、どんな風にでも変われる。
 俺は、ダンディ・ライオン。
 雑草だ。
 コンクリートを引き裂いてでも、咲いてみせる。
 ……だけども」

 言って刹那は初めて、静かにうつむいた。

「例え、素顔を世間にさらしても。
 この世界に居る限り、興味本位に写真を撮りたがるヤツは多いだろうし。
 『顔』のイメージばかりが先に立ち、誰も俺の『演技』を見なくなる」

 それに、何よりも、と。

 刹那は、ため息のように言葉を吐いた。

 「俺の都合で、人を傷つける訳には、行かねぇんだ。
 兄貴だって怪我をしたし……ましてや。
 彼女の命を奪うことになるなんて……!
 俺は、何よりも大事なヤツを守れなかったんだ……!」

 だから、この先俳優を続けるわけには、行かないんだ……と。

 嘆く刹那は辛そうだった。

 相手がどんな顔をしていても愛してくれる女(ひと)がいた。

 亡くなった女(ひと)を守りたかった男(ひと)がいた。


 ……なんて。


 ただ『好き』と伝えるだけでは、到底足らない。

 とても切なく悲しい『恋』の形がここにあった。



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