オレの宝物。それは君の笑顔【完】
北原はあまりおしゃべりな方ではなかったし、オレも緊張で思うようにしゃべれなかったが、毎日一緒に帰るうちにお互いのことを少しずつ知っていった。


北原の将来の夢は、ピアニスト。


「織田くんは、サッカー選手?」


北原に言い当てられて、オレのテンションは上がった。


「そうなんだよ!

母ちゃんとかは『中学生にもなって、何バカなこと言ってんの』とか言うけど。

オレ、絶対Jリーガーになってみせる。

そのためにも、まず、南高に行って全国大会に出場するんだ」


「南高って、サッカー強いの?」

「うん。この辺ではダントツ!

Jリーガーになった人もいるし。

ただ、最近はK学園におされちゃってるんだけどね。だいたいK学園は――」


サッカーの話をする時だけは、緊張から解き放たれて冗舌になった。


しかし、ふと、我に返る。


サッカーのマニアックな話なんて、北原は興味ないだろう。


「あ、ごめん。こんな話、よくわかんないよね」

「ううん――織田くんて、ほんとにサッカーが好きなんだね」

「うん。オレは、サッカーをやるために生まれてきたんだ!」


またしても、自然と力が入ってしまった。

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