オレの宝物。それは君の笑顔【完】
文化祭の数日前。


オレは勝負に出ることにした。


加納が休んでいることも、オレに与えられたチャンスだと思えた。


「送って行くよ」


オレの気持ち――。


オレが告白しようとしていること――。


みんなに冷やかされ、北原はさすがに気づいたらしい。


助けを求めるように織田を見たが、織田はすぐに目を逸らしてしまった。


思いどおり、だった。


織田は小さい男なのだと、北原に気づかせたかった。


北原は、織田に頼っても無駄だとわかったらしい。


自力で解決しようと、部活に行くようオレを説得し始め、結局は、偶然通りがかった弟と帰ってしまった。




告白はできなかったが。


織田への失望――。


北原の心に、きっと芽生えたはずだ。

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