オレの宝物。それは君の笑顔【完】
北原の告白が未遂に終わった経緯――。


それを知って、強烈な怒りを覚えた。


と、同時に、安堵した。


「だけど、なんで、織田は学校では北原としゃべらないんだろう」

「どうせ、オレは北原みたいに優等生じゃないから釣り合わないんだ~、とか、つまんないこと気にしてるんでしょ」

「じゃあ、鈴木と二股してるってことはないんだ?」

「二股~? そんなことしてたら、あんなのうのうと暮らしてらんないわよ」


加納の眼がキラリと光り、一瞬、加納に関する様々な噂が脳裏を過ぎった。


「ところで、高野は、なんで香奈に告白しないの?」


なぜそんな質問を――?


返事はNOだとわかっているのに。


「私としては、高野に、香奈のカレシになってほしいんだけどね~」


だけど、織田を好きだと言った時の北原の幸せそうな微笑――。


あんなの見せられたら、あきらめるしかないじゃないか。


「つまんないこと気にして不安にさせるような小さい男なら、香奈もそのうち、おだっちに失望するでしょ」




……多分、オレはこの時、加納の暗示にかけられたに違いない。

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