《短編》幼馴染のその後に

『…やっと、認めたな？』


「―――ッ！」


瞬間、タケルはニヤリと笑った。


その顔の意味がわからなくて、あたしはポカンとしてしまう。



『…いや実際、苦労したよ、ここまで。』


そしてタケルは、感慨深げに腕を組む。



「…あのぉ。」



えーっと…？


あたし今、確かに告白したよね？


何か、伝わってないような気がするんですけど…。



『…俺、ずっと美咲のことが好きだったのに、全然気付かないんだもん。』


「―――ッ！」



あれれ？


今、この人何言ってんの…？



『イチかバチかでキスしたのに、怒られたときは“終わった！”って思ったよ。』


そして一人で喋り、タケルは嬉しそうに笑っていた。


その向かいで、あたしは状況すら掴めていなくて。



「待ってよ！
タケル、何言ってるの…？」


戸惑いがちに聞くあたしに、だけどタケルは笑ってて。



『…だからぁ。
俺も美咲が好きなの！』


そして、ポカンとしたままのあたしにもわかるように。


『ハイ、両思い♪』


「―――ッ！」



何言ってんの…？


あたしはまだ、熱にうなされているんだろうか？


何が起こってるのかなんて、まるでわかんない。


だってタケルは、結衣と付き合ってるんでしょ？


それのどこが、“両思い”になるの？