《短編》幼馴染のその後に
タケルは財布から千円札3枚を取り出し、窓の向こうの二人に渡す。


“まいど♪”と言った二人は、嬉しそうに笑い。


そして“お幸せに♪”の言葉を残してパタンと閉めた。


何で、勝手にあたしの部屋にいるの?


やっとそんな疑問を持って。



「お母さんの馬鹿ー!
結衣と七海、我が家に出入り禁止ー!!」


叫んでみたが、届くはずもない。



『…あのさぁ。
俺の存在、忘れないでくれますか?』


「―――ッ!」



わ、忘れてた…。



『…今日は、クリスマスイブだな。
しかも、両思いじゃん?』



わ、忘れてた…。



「ナシー!!
ナシナシナシー!!
あんなのナシー!!」


と、叫んでみたが、全ては無意味らしく。



『…何言ってんの?
もぉ、遅いよ?』


「ギャー!!」


『…まずは、両思い記念に一発♪』


「イヤー!!」



あたしは、騙されたのだ。


“幼馴染”で“お隣さん”のタケルがとんだ策略家だったことなんて、知らなかった。



「ちょっ、どこ触ってんのよー?!」



ずっとあたし達は、幼馴染なんだと思ってた。


だけど気付かされた、この気持ち。


あたしはこの馬鹿のこと、それでも好きらしい。









END
< 31 / 31 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:6

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

花吹雪~夜蝶恋愛録~

総文字数/59,825

恋愛(純愛)113ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
キャバクラ『Rondo』で巻き起こる 男女の恋模様。
【短編】澱(おり)

総文字数/21,912

恋愛(純愛)44ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
今でもまだ、心に溜まったままの澱は。
きみと秘密を作る夜

総文字数/136,593

恋愛(純愛)272ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
「誰にも言うなよ?」 「言わないよ。 言ったらもったいないじゃん」 あの日、私たちは 中学2年生だった。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop