きみ、いとほし〜幕末純愛抄〜
「土方さんのことですよ。」


土方さんの叫びも無視して総司が言った。


「土方さんが豊玉?」


私はいまだに話が分からない。


「総司?お前は走らなくていいから、それ以上言うな!な?」


真っ青な顔をして土方さんが総司を止める。


「土方さんの趣味は俳句なんですよ。雅号が豊玉です。」


「総司〜。」


土方さんの叫び声が木霊する。


「あ。お華さんも見ます?」


鬼の形相で叫ぶ土方さんを無視して総司が懐から取り出した物・・・


『豊玉発句集』


「何、それ?」


「これはですねぇ、豊玉さんの作った句集ですよ。」


と笑いながら総司は言った。


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