イジワルな俺様の秘密ライフ
ま、巻けた……かな?
「ここなら大丈夫」
ぜいぜいと肩で息をしながら、立ち止まったケバ子と私。
がくがくと震える脚は運動不足を物語っていて、私は堪えきれずにその場にしゃがみこんだ。
息を整え深呼吸する。
肺の隅々まで空気を行き渡らせ、体に血流が巡ったのち、ようやく話を切り出せた。
「ね、花園さん。あれ、なに……?
垂れ幕とか……みんなの様子もおかしいし」
ケバ子は私から少し離れたところに座り込み、大きく息を吐いた。
「海翔さまの親衛隊が動き出したんだよ。
あたしみたいな下っ端じゃない、親衛隊の幹部が」
「かんぶ……?」
ああ、と頷くケバ子は真剣な顔で私を見据えた。
「あたしは親衛隊だから詳しくは言えない。
ただこれだけは言っておく。
この学園で平和に学園生活を送りたきゃ、海翔さまは諦めな」
そう言って立ち上がると、意味がわからない私を残し、ケバ子は去っていった。