イジワルな俺様の秘密ライフ
──いた。
見知った顔を見つけた。
しかも皆と違い、笑顔じゃない。
どちらかというと、歌舞伎とかツタンカーメンとか、そんな感じ。
笑顔じゃない顔がこんなに安堵するものであったことなんて、生まれてこのかた無かった。
どんな顔だっていい。
私はありったけの大声で周りを威嚇するかのように、その名を呼んだ。
「ケバ……花園さぁぁん!!」
叫びながら走りよる私を見て「うげっ」と言ったのは聞こえなかったことにする。
「ちょっと来て!!」
ケバ子、もとい花園さんの腕をむんずと掴み、私はがむしゃらに駆け出した。
「あ、ターゲットが逃げた!!」
「回りこめ!!」
騒ぐ生徒たちに背筋が凍る。
一体何だっていうの!?
プチパニックをおこす私に舌打ちをすると、ケバ子は逆に私の腕を掴み直して「こっち」と引いた。