最初で最後
先に歩き出した先輩に追いつくように歩く。
先輩はやっぱり、優しい。誰もそれを理解しようとは、
しない。淋しい、よね。これってさ。

自分の気持ちが少しずつ傾いてるような気がした。
指輪を取らなきゃいけない様な気がした。
もう、吹っ切らなきゃ。そう思った瞬間だった。


「美並ちゃん?」

「へ?」

「ボケッとしてるとこけるぞ」


そう言われ、前を見ると2mくらい先には、電柱。

…このまま行ったら確実にぶつかってたよね。
ていうか、こけるというよりぶつかる…。


『寛生ー!お前が来ないと鍵開かないんだけど』

「今行く。…ほら早く行くぞ」
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