光る道
彼がフッと笑った。




「お前… わかってんの? 俺が夕希に、どれだけ惚れてるか。 大切にしたいと思ってるか。
抱く事だけが、全てじゃない。
俺は夕希が、そばに居てくれるだけで、それだけでいいんだ…」




私の涙を拭きながら、優しく言ってくれる。




「心配しなくても、続きはちゃんと、そのうちやるから。
楽しみは、とっとかないとな!」




最後はいつもの、いたずらっ子の様な顔で笑った。





「もう… 薫…
 ありがと… 嬉しいよぉ…」




また泣いてしまった。




「お前、明日また、目が腫れるぞ!」




笑いながら、抱きしめてくれた。







しばらくすると、彼の寝息が聞こえてきた。




その寝息を聞いてると、私も眠くなってきた。






でも… 今夜の事は、絶対に忘れない。




彼が言ってくれた言葉も…


この温もりも…





一生、忘れない。





そして気付いた。



手も、体も、震えなかったことを…




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