零~ZERO~
貴矢は、ぶちギレていた。

『何でコールしないんだよ。
俺、店の前で待ってるから。そいつの特徴言って。
てか店燃やすから。そしたら店、辞められるだろ。』

コールとは、ルール違反や、女の子が嫌がる事をされた時に、部屋の内線を鳴らして、従業員を呼ぶ事だ。


私は、その時、呆気にとられて、そんな事は浮かばなかった。
しかも、セックスをしている私も悪いんだし。


その月は、ちゃんと生理が来るか心配だった。
今までもセックスは、していたけど、確実に中出しされたから。



ちゃんと生理は来た。
それは良かったけど、貴矢が、ホテルで素股教えてやるから、もう絶対セックスするなと言ってきた。


男の貴矢から見て、客は、店に行く前に、ヌいてきて、わざとイカなかったり、わざと風呂に入らないで来て、汚いペニスを、しゃぶらせる奴とかが居るのだと言う。


『お金払ってもらってるからって、時間内にイカないのは零が悪いんじゃない。
イカない男が悪い。
イカせたいなら、手コキでいいから。
そもそも、素股なんて、手コキと一緒だから。
即尺も1分もやらんでいいから。』


貴矢は、風俗に慣れている様だ。
最初に私に逢った時の、あの、おどおどした感じは、本当に緊張していただけだったみたいだ。


因みに、"即尺"とは、シャワーに入らず、そのままペニスをしゃぶるといった、かなりしんどいオプションである。
NGにしている女の子も居るが、オプションなので、こちらの取り分も多くなる。
私は、そんな事も知らずに、早川が勝手にオプションに付けたので、今更やめる訳にもいかない。


貴矢が、セックスを絶対するなと言うのは、彼氏が居るのに普通にセックスしている事なんだから、それは浮気と同じ事。
馬鹿な女だ。


貴矢は、
『絶対しないで。やっつけでいいから。テキトーでいいからね。』
『私も約束するから、貴矢の言う通りにするから、オナニーしないで。
もう店に来ないで。自分で稼がせて。』
と、約束を交わした。
< 48 / 84 >

この作品をシェア

pagetop