裏表プリンス
私の背後に立つ那智を莉紗が睨み付けると、那智は逃げて行った。
逃げるくらいなら抱き付くなっつーの。
ふぅ。と短く溜め息を吐くとさっきの事を咄嗟に思い出す。
「莉紗、さっきね……」
「何っ!?本当は那智に何かされた!?」
「違う……。さっき保健室前で例の人を見掛けたんだけど……」
「マジ!?で、確認出来たの!?」
やや興奮気味に質問を投げ掛けてくる莉紗を沈め、壁に寄り掛かりながら私は話を再開させる。
「急いで追い掛けたんだけど、この前みたいに手遅れでさー……」
「マジでかー、でもチャンスはまだ有るし諦めるな伊桜っ!!」
そうだよ、昼休みも駄目な結果でもまだ放課後が残ってる。
放課後が本当の正念場よ。
「てか本当に逃げ足速いんだよなー……」
「逃げ足?楠原さんは誰かと鬼ごっこでもしてるの?」
『………!?』