裏表プリンス



急に背後から聞こえた声。私の記憶にハッキリと残ってる低くて甘く響く声。

身体を90度回転させて声の主を見上げると、そこには矢張り小桜池くんが笑顔を私達に向けて立っていた。



「ま、まぁそんな感じ……かな?」

「そうなんだ。……申し訳ないんだけど、少し道を開けて貰えるかな?」

「え?……あ、ゴメンっ!!」



小桜池くんに言われて漸く私は教室の出入り口を塞いでいた事に気が付き、急いで入り口を解放した。

あー……、何だか皆に申し訳ない。

小桜池くんは私と莉紗の横を通り過ぎると、一旦止まり振り返ると再び笑顔を向ける。



「……髪」

「髪……が何?」

「糸屑が付いてたよ。それと……『逃げ足の速い人』捕まえられると良いね」



そう言ってさり気なく取って呉れたのか、糸屑を私達の視界に入れるとソレをゴミ箱に捨てて席へと戻って行った。



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