裏表プリンス
何度も何度も角度を変えて繰り返される脳が痺れる程甘いキス。
ココで逃げないと危険。
本能と半々で対峙する理性が逃げる事の出来ない私に警告を下す。
「んっ……は……」
「何、伊桜は俺の事誘ってる訳?」
「違……っ!!馬鹿な事言わないでよ!!」
「その顔で言われても説得力ねぇけど?」
久々の嫌味たらしい笑みを浮かべながら私を見詰めてくる煉の身体を押し退け、その儘洗面所へと逃げた。
鏡を見るとそこには頬を赤く染めた私の姿が映っていた。
オモチャって理由でも煉とキス出来るのは嬉しい、でも何処か複雑で苦しい。
「どう……したら良いの……?」
どうしたら煉は私を『オモチャ』じゃなくて『楠原伊桜』として見て呉れる?どうしたらこの関係を変えられる?
この儘じゃこの恋は叶う所か一歩も進まない気がしてならない。