俺をオトしてみろよ。~愛しのドクターさま~
あたしのスーツをガッチリと掴んでいる手は、お父さんによって簡単に引き剥がされる。
あぁ゙ーっ!あたしの憩いのオアシスがーッ…!
半分涙目でお父さんを睨み付けてやると、ちょうどイケメンに頭を下げている所だった。
「ごめんな朔夜君。うちの娘の餌食になって。嫌な思いはしなかったか?」
「やっぱり桜井先生の娘さんだったんですね。いえいえ、気にしてませんから」
口にはそう出しているけど、明らかに迷惑そうな表情を浮かべているイケメン。
…その表情もまた、ステキです!
傷付く所か、逆にその態度に萌えを感じてしまうあたしは、やっぱりどこかズレてるのかなぁ…?
「柚、お前にも紹介しておくよ」
「へ?」
お父さんがイケメンの背中に手を添えて、あたしの方にゆっくりと向ける。
何が何だか分からないまま、あたしはその光景をボンヤリと瞳に映していた。
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