【短編】ウラハラ


私は言葉に詰まって、でも目を逸らす事も出来ずにただ柏木さんを見つめていた。


「…この場所、落ち着くよね」


柏木さんはゆっくりと滑走路の方へ顔を向ける。
シートベルトを外すと深くシートにもたれかかった。



ゴクリと喉が鳴る。



ようやく私も視線を滑走路に戻してこっそり息を吐いた。


柏木さんはタバコに火をつけて燻らせる。


「出ようか」


独り言のように言って外に出て行く。
私もつられて外に出た。







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