【短編】ウラハラ


「…みんなに同じこと言ってるんじゃないですか?」


言ってしまってからハッとする。

何言ってんの、私。



「あ、あの…」

「俺は、君にウソはつかない」

謝ろうとした私の言葉に柏木さんの声がかぶさる。


「いつも本気だから」


柔らかい声に私は柏木さんの方を見た。

いつもの調子の柏木さんからは想像つかないくらい、真っ直ぐで真剣な目。





仕事の時とも違う、男の人の顔、だと思った。








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