あめとてるてる坊主
「おはよう」


 眼鏡越しじゃない笑顔に、私はすぐに返事を返せなかった。



「……ぉ、おはよう!」

「急いでこなくてもよかったのに」


 笑う彼に、私は首を振る。

 ああ、どうしよう。


 ……かっこいい。


 ジャージ姿も眼鏡をしていない素顔も、何もかもがまぶしい。


「眼鏡、してないんだね」


 じりじり焼ける中、私は彼の横に立つ。


「部活のときは邪魔だから、コンタクトしてるんだ」

「そうなんだ……」


 自転車にまたがる彼と私の目線は同じくらいだった。

 それもいつもと違ってなんだか恥ずかしい。

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