本屋の花子〜恋をしたら読む本〜

*菜々子ちゃんと言う保育園児がある日ママに前髪を短く切られて小さいながらも乙女になっちゃう可愛いお話し*


なんですがぁ。



「僕、JUMPとエロ雑誌しか読まないからなぁ。ふぁふぁふぁ」



何時もながら何度も申しますが。




店長。


止めて下さいなその田舎な東京弁。



朝礼も終わり。


花子は「いらっしゃいませぇ」を静かに言いながら早足で児童書売り場の秋の読書コーナーへと向かいましたよ。



{まえがみぱっつん}めがけてね。



昼間まっさんに頼まれた時にすぐにこの本だと勝手に確信しましたからね。



読み聞かせかぁ。



花子は本屋では午後6時から10時までの勤務。


毎月一度の土曜日に昼間の勤務のスタッフが子供を集めて{読み聞かせ会}をしてるのが少々羨ましかったのよね。






幼稚園の頃に若い可愛い女の先生が綺麗な絵本を膝に乗せて感情豊かに読んで聞かせてくれた優しい声がよみがえりますよ。



花子は「まえがみぱっつん」のページをゆっくりと開けましたぁ。




『菜々子はある日ママに散髪をしてもらいました。髪を切るハサミの音と髪をとくママの優しい手に菜々子は何だか気持ち良くてついついコックリと船をこいでしまいました。事件はその時に起こったんです。なんと、菜々子の前髪が凄く短くなってしまいまったんです。菜々子は悲しくて恥ずかしくてお友達の所にもママとSマートにお買いものにも行けなくなりました。そんな菜々子に大好きなお婆ちゃんが、可愛い桜のお花が着いたピンクのヘアピンを作って前髪を可愛く留めてくれました。菜々子はさっきまで前髪が凄く嫌いになっていたのに今はとても大好きになりました。だってこんなに可愛くなったから』



ってこんなお話しでしたね。



花子は思わずヤンワリした優しい気持ちになりましたよ。




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