『Badend Story〜2人のジャンヌ・ダルク〜』(歴史ダークファンタジー)
第3章『ダルク家』

第1節『嘘』

―ユリウス歴1425年―



ジャンヌは俺の手を引きながら走り、森を抜け、すぐ近くの村まで走った。



“ダッダダダッダダ”



俺は、何故ジャンヌがそんなに慌てているのか解らなかったので、走りながら、ジャンヌに聞いた。



『お、おい…ジャンヌ?一体どうしたんだよ何をそんなに急いでるんだ』


するとジャンヌは慌てながらこう言った。



『えジャンヌにはさっきの教会の鐘の音が聞こえなかったの』


『急がなきゃ…お父さんに叱られちゃう』


(教会?…)



そうこうしている内に、
俺とジャンヌは森を抜けてすぐの村にたどり着いた。


―フランス・ロレーヌ地方・ドンレミ村―



しかし、村には俺達以外に人が見当たらず静まり返っていた。



『あ〜…間に合わなかった…』



その村の様子を見たジャンヌはそう呟いていた。


そして、その村の異様な光景を目の当たりにした俺は、再びジャンヌに尋ねた。


『ジャンヌ?ここは?』


『ドンレミ村よ。』


『“ドンレミ村”?』


『へぇ〜。ところで、ここの村の人達は?』


『流石に、ジャンヌやジャンヌの家族しか住んでない訳じゃ無いんだろ?』


『そうなんだけど、今はジャンヌに説明してる時間が無いわ取り敢えず付いてきて』


『あ、ああ。』



そう言うと、ジャンヌは再び村の中を走り、一つの家の扉をノックした。



“ダッダダ”“ダッダダ”


“ドンドンドンドン”


『お父さ〜ん』


『お母さ〜ん』



ジャンヌはそう呼び掛けながら、そのノックした扉を開けた。



“キイーー”


“バタン”


“カツッ、カツッ”


『お父さん?…お母さん?…』


『ジャックマン兄さん?ピエール兄さん?ジャン兄さん?…カトリーヌお姉ちゃん?…』


“………”


『“誰も居ない”っか…
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