『Badend Story〜2人のジャンヌ・ダルク〜』(歴史ダークファンタジー)
第4章『伝説のロー』

第1節『伝説の始まり〜ハイ&ロー〜』

―ユリウス歴1425年―


―ドンレミ村の近くの森―


ミカエルとの通信が途切れて一瞬沈黙に陥った俺とロー。


しかし、俺の心の中には、そんな沈黙をものともしない程のローへの疑問が溢れ反っていた。


そして俺はその全ての疑問をロー自身にぶつける事にした。



『なぁ?…ロー…』


『あ"?』


『あ、あのさぁ…さっきの話しの続きなんだけどさぁ…』


(何だろ…何故か上手く言葉に出来ない…)


(コイツに聞きたい事は山ほど有る筈なのに…)


(言葉にしようとすればするほど言葉が詰まる…)



俺はローに何て言って切り出して善いか分からず言葉に詰まっていた。


そんなもどかしそうな俺を見たローが、こんな事を言い出した。



『フェアじゃねぇだろ』

『ん?…フェアじゃない?何がだ?』



この時ローの口から出された言葉は、ローの精一杯の気遣いだったのだろう。


そして、そんなローの言葉に対して疑問形で返す俺に、もう一度ローがこう言った。



『だから、俺達は全然フェアじゃねぇだろ?』


『俺はさっきのミカエルって奴からジャンヌちゃんの事はあらかた聞いた。』


『ジャンヌちゃんが未来人だという事』


『そんなジャンヌちゃんがガッコウという施設で、勉強中に事故で遥か未来からこの時代へやって来たって事』


『あのミカエルって奴も神どころか天使ですらない…俺達と何ら変わらないだだの人間だという事』


『ジャンヌちゃんは、今のこの時代では有り得ない程のカガクという力を使える事』


『ジャンヌちゃんがこれからすべき事』


『俺はミカエルって奴からそれら全てを聞かされた。だから今の俺からすればジャンヌちゃんは謎でも何でも無い、ただの迷子みてぇな者だ』


『でもジャンヌちゃんは違うんだろ?』


『恐らくジャンヌちゃんから見て俺は謎そのものの筈だ。』


『………』


『俺はジャンヌちゃんの事を知ってる。』


『だがジャンヌちゃんは俺の事を知らない。』


『これって全然フェアじゃねぇだろ?』
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