『Badend Story〜2人のジャンヌ・ダルク〜』(歴史ダークファンタジー)
『だから今ここでジャンヌちゃんが俺に聞きたい事が有れば全て聞いてくれて構わないよ』



ローは優しい顔で俺にそう言った。



それを聞いた俺は、ローに俺の正直な気持ちを伝える事にした。



『悪りぃ…実際俺は今でも信じられない位なんだ…』

『つい昨日までは普通の生活をしてて。』


『つい昨日までは普通に学校に行ってて。』


『けど…その普通が息なり音も無く崩れ去って…』


『気付いてみたら何も知らない、誰も知らない場所に居て…』


『もうどうにかなっちゃいそうだよ…』


『そんな中で、知り合いに、しかも、凄く信頼してた奴にそっくりなお前が現れたと思ったら、お前は不思議な力を使う奴だし。』


『この時代の人からお前の事を聞いたら、妙な噂ばかりだし…』


『一体俺は何を信じて行けば善いのかすら分からねぇんだよ…』



俺は泣きながら初めてこの時代の奴に自分の本音をさらけ出した。


するとそんな俺を優しく抱きながら、ローは言った。


『ジャンヌちゃん?善いかい?何を信じるか、誰を信じるか何て事は、自分で考えて自分で決める事だ。』

『勿論、宗教や風習、周りの環境の性で神や天使を信じる奴も居るだろう。』


『けどな、俺は思うんだ』


『そうやって居るか居ないか、その者の存在すら怪しい者に縋ったり、祈ったりする時間が有るなら、その分自分を信じて努力した方が確実に前に進めるんじゃねぇか?って』



俺は、そのローの言葉自体は軽い物言いに反して、その言葉の意味の重さを感じた。
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