『Badend Story〜2人のジャンヌ・ダルク〜』(歴史ダークファンタジー)

第4節『国王最後の頼み〜王を斬る者〜』

―ユリウス歴1400年―


―フランス―



気を失った俺が目を覚ますと、俺は見たことも無いような綺麗な部屋で、使った事も無いようなふかふかのベッドに横になっていた。


『うっ…痛てぇ…』


『こ、ここは一体…』


『俺は一体…』


『あっハイドハイドはどこだ』



俺はベッドの上で、肩や背中を手で押さえながら背中の激しい痛みと共に、逃げ出したハイドの事を思い出した。



『俺は何で生きてるんだ?確か俺はロベールとかいう奴に斬られた筈じゃ…』


“カツカツカツ”


“カツカツカツ”


“カツカツカツ”


(ん…誰か来る…)



その時俺の耳に、部屋の外から複数の足音が聞こえた。



俺は咄嗟に逃げようとも考えたが、身体が思うように動かなかったので、布団を被り、寝たふりをする事にした。



“バサッ…”


“ギィィィ…バタン”


『ん?…ふっっ…』



部屋の大きな扉が開き、何やら3人の男の喋り声が聞こえた。



『で?ガブリエル公、この子供の容体は?』


『はい。先程手当てをしましたところ、見た目よりも傷は浅く、命には何ら別状は無いかと。』


『まぁ斬ったお方がロベール様の様な方ですからね。そこら辺は既に計算の上では無いでしょうか。』


『私は陛下の御命令の通りに事を運んだまでです。』

『しかし、この子供がここに来て2日間も経っておるのに、今だ“目を覚まして居ない”と城の者達からは聞いておるが?』


『その事なら御心配には及ばないかと存じます。陛下。』


『それはどういう事だ?』


すると、一人の男が俺の上の布団を剥ぎ取った。



“バサッ…”



俺は布団を剥ぎ取られ、部屋に来た3人に俺が起きている事がばれてしまった。


『おぉ目覚めておったか。ロベール、主は何故この子供が起きておると?』


『埃です。陛下。』


『“ホコリ”?』


『陛下やガブリエル公と私がこの部屋に来た瞬間に、部屋の、しかもベッドの真上だけに埃が舞っていたので。』
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