『Badend Story〜2人のジャンヌ・ダルク〜』(歴史ダークファンタジー)

第8節『剣に選ばれし者』

―ユリウス歴1400年―


―フランス・宮廷内―



俺は昼間にロベールから聞いた“人を選ぶ剣”の事を夕食の時に親父に聞いた。


『なぁ、親父?今日ロベールから聞いたんだけどさぁ。』


『この宮廷内に“人を選ぶ剣がある”って本当?』


『なんだ、もう嗅ぎ付けたのか。流石はマーリンの血を継ぐ者だな…』


『“マーリンの血”?…何だよそれ?』


『まぁ善い。食事が終ったら、私に付いて来なさい。』



―30分後―



俺は食事を終え、親父の言葉に従い、宮廷の地下へと続く階段に連れて行かれた。



『へぇ〜。この城にも地下なんて有ったんだなぁ』

『ああ。しかし、有っても意味の無い地下だがな。』

『“有っても意味が無い”?…それって?』


『この城の地下…つまり今から私達が向かう地下室はこの城に代々受け継がれる物が保管されておる。』


『“代々受け継がれる物”?…宝?…』


『じゃあ地下室って言うのは“宝物庫”って事か?』


『そうだな…言い方を変えればそう呼べるかも知れん。』


『な〜んだ地下室が宝を保管する場所なら、ちゃんと宝物庫としての意味が有る地下室じゃん』


『ああ。確かにそこに置かれている物が本当に宝ならそれは成り立つじゃろうな。』


『え?…だってさっき親父が自分で言ってたじゃんかよ“この城に代々受け継がれる宝”って』


『ロー?お前は何か勘違いをしてないか?』


『確かに“この城に代々受け継がれる物”とは言ったが、私はその受け継がれる物を“宝”等とは一言も言ってはおらんぞ?』


『え?』


『第一、ローが見たいのは宝では無く剣であろう?』

『あそうだったんじゃ地下に保管されている代々受け継がれる物って、その剣の事なんだ』


『いかにも。』


『でも…それじゃやっぱり可笑しいよ』


『ん?何が可笑しいんじゃ?』


『だって、それならそれで、やっぱり地下はその大切な剣を置く場所なんだろ?だったらやっぱり地下は意味が無い地下室じゃ無いじゃん』
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