『Badend Story〜2人のジャンヌ・ダルク〜』(歴史ダークファンタジー)
『では…もし、その剣が全く使えない様な代物だったらどうじゃ?』


『ん?…』


『代々受け継がれておるどころか、代々この城の者がその剣を動かせずにいただけだとするならどうじゃ?』


『使いたくとも使えない。』


『持ちたくても持てない。』


『捨てる事すら叶わぬ剣だとしたらどうじゃ?』


『………』



俺はその親父の言葉を聞き、親父に返す言葉も無く、ただ親父の後ろを歩いて階段を下りていた。



“カツカツカツカツ”


“カツカツカツカツ”



(どれくらいの沈黙が続いた事だろう?…)


(どれくらい階段を下った事だろう?…)


ただ、ただ、ひたすら長い階段。


そんな長い階段の壁に数え切れない位のロウソクだけが俺達の足元を照らし。


親父と俺の間には一言も交わす言葉は無く、ひたすら階段の下り続けながら俺はそんな事を考えていた矢先、その沈黙を掻き消す様に親父が言った。



『着いたぞ。』


『な、何だよ…この馬鹿デッカイ扉は…』



親父と俺の目の前にとてつもなく大きな扉が姿を現した。
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