『Badend Story〜2人のジャンヌ・ダルク〜』(歴史ダークファンタジー)

第9節『3つの疑問』

俺は親父の案内で人を選ぶ剣が保管されている宮廷内の地下室でその剣を目の前に愕然とした。



“う゛ぁ゛ぁぁー”


“ぐぁぁぁぁー”


“ぎゃぁぁー”



俺が開けた扉の先に待っていたもの…それは真っ赤に染まり、俺の足首位の高さまで部屋一面に広がる血…

そして、その部屋の中心の地面に深く突き刺さる剣…

更には、その剣の周り、あるいは部屋中を飛び回る悍ましい程の人の顔にも似た“なにか”の姿…


部屋中にはその“なにか”が放っているうめき声と悲鳴…


俺がその部屋中の光景に驚いていたその時、俺の身に驚くべき事が起きた。



“カタカタ”…“カタカタ”


『ん』


『な、何なんだよ…』


“ヒューッ…ビューー”


“カタカタ…ガタガタ”



地面に突き刺さっていたその剣は俺の目の前で見る見る内に宙に浮かび上がり、さっきまで部屋中を飛び回っていた“なにか”がその剣の周りに集まりだした…

まるで剣の刃を隠す様に剣の刃を被いながら渦を巻くその“なにか”…


すると今度は、部屋中に広がっていた真っ赤な血の様な液体がその渦に吸い寄せられているかの様に、その剣の真下に集まり渦を巻きながら剣の刃目掛けて宙に引き寄せられた。



“ゴォォォー”


“ジュルルー”


(剣が血を吸ってる…)



俺は咄嗟にそう思った。


いや、正確に言えば“そう思うしか無かった”のかも知れない。
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