『Badend Story〜2人のジャンヌ・ダルク〜』(歴史ダークファンタジー)

第11節『俺の名を知る者』

―14世紀・フランス―



こんな最後の状況な俺の前に、突然“そいつ”は現れた。



『うぉぉぉ』


『ぎゃぁあぁ"』



俺の周りを囲って居た極盗賊達が次々と悲鳴を上げ、その場に倒れ込み始めた。


(何だ)


(一体何が起きたんだ)



俺が、訳も解らず立ち尽くして居ると、さっきの指笛の盗賊が大声で、こんな事を言い始めた。



『“黒髪”に“左目に傷”』


『それに…あの“大剣”』


『ま、まさか…お、お前は…』


『………』


『何で貴様の様な奴がこんな所に居るんだ〜』



その驚きの声はでかく、辺りに居た者全員の耳に届く程だった。



そして、その驚きの声を上げた指笛の盗賊の近くに居た他の盗賊が、黒髪の男を指差しながら、指笛の盗賊に聞いた。



『御かしら…一体誰なんですかい?“こいつ”は?』



すると、わざとらしい位の怯えきった声で、指笛の盗賊が答えた。



『ば、馬鹿オメェは知らねぇのか』


『“ロー”だよ“ロー”』


『“鞘抜かずのロー”』


(“鞘抜かずのロー”?)



指笛の盗賊が、その異名を口にした途端、辺りは一瞬にして静まり返り、沈黙に包まれた。



そして、俺の周りを囲って居た盗賊達が一斉に色々な言葉を呟き始めた。



『“ロー”?』


『おい“ロー”だってよ…』


『俺、初めて見た…こいつが、あの“生きる伝説”のローかよ』


『な、何でそんな奴がここに居るんだよ』



そして、数々の事を呟いた後、一人の盗賊が言った。


『こんな奴と闘え無ねぇよ…に、逃げろ〜』



たった一人のその言葉を待っていたかの様に、次々と盗賊達が一斉にその場から逃げ出し始めた。



『うぉぉぉ〜』


“ダッダダダ”


“ダッダダダ”


『わぁ〜逃げろ〜』


“ダッダダダダッダダダダッダダダ”
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