『Badend Story〜2人のジャンヌ・ダルク〜』(歴史ダークファンタジー)
第2章『“夢”〜記憶の世界〜』

第1節『友達の証』

俺の名前はジャンヌ・ダルク。



『ここは…何処だ?…』


(俺は一体どうしちまったんだ?…)



俺の体は宙に浮き、俺の周りはだだっ広い真っ白い空間…


何も無い…ただの空間…



俺は一体、何をしてるんだ?


俺は一体、どうやってここに来たんだ?



『俺の記憶が正しければ、俺は確か…』



俺は、自分の思い返せる範囲の記憶を思い返した。


そして、俺は自分に起きた出来事を思い出し、咄嗟に思い付いた名前を呼んだ。


(はっ)


『ジャンヌジャンヌは』



そう…俺は思い出した、自分が、時間学の授業中に14世紀のフランスへ飛ばされてしまった事を。


そして、そこで出会った俺とウリフタツの顔の14世紀の本物の聖女ジャンヌ・ダルクの事。


さらに、そのジャンヌが盗賊達に襲われ、何とかその危機を逃れた俺と、ジャンヌ…


そして、疲れきった俺は、木に寄り掛かり眠るジャンヌの横で仮眠を取ることにした筈…


(つまり…これは俺の“夢”って事か?)


(つまりここは…“夢の世界”?)



『そうだよ』


『ここは君の夢の世界さ』



俺自身が、俺が今居る場所が“夢の中”という事に気が付いた瞬間、何処からともなく、俺に声が聞こえ始めた。



しかし、その声の主が誰なのか、俺には何故か思い出せなかった。


でも…その声はとても懐かしく、暖かで、心地好い声だった。


だから、俺はその声の主に聞いた。“君は誰なんだ?”と。


すると、すぐに返事は返って来た。



『え〜僕はいつも君と一緒に居たのに〜。』


『え俺と一緒に居た』


俺がそう言うと、今度はこう返してきた。



『でも酷いよなぁ。僕を森に落として行くなんて…』

『俺が君を“森に落とした”?…君は一体?…』



すると、俺の目の前に蒼く綺麗に輝く光が現れ、悲しそうな声でそいつは言った。



『本当に僕達の事を忘れちゃったの?』


『“僕達”?…君は“一人”じゃないの?』
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