カナリアンソウル
目が霞む。


『うん。でもね、でも…』


どんどん霞んで前が見えなくなる。


「…でも?」


言葉よりも先に、ギュッと瞑った目から水が流れたのを感じた。


『でも、あたし……、陸斗が好きだよ。』


彼は最後まで優しく微笑んでいた。


「わかった。泣くな。」


『、うん。』


「やっぱお前、俺のめんこだわ。」


『…陸斗ぉ〜!だいすきだよぉ〜!』


「あはは、わかったから。ブスがもっとブスになるぞ!」


優しく頬の涙を拭った彼の手は温かくて、一生忘れたくないと思った―…
< 102 / 116 >

この作品をシェア

pagetop