カナリアンソウル
終業のベルが鳴ると、私はさっさと荷物をまとめてすぐに教室を出る。

「風邪移って、次は瞑が休むことにならないように気をつけてね」

ひろみは鞄を持ち上げた。

「わかった、ありがと!」

下駄箱の前で部活サボってすいませんと一礼したあと、急いで校門を出た。

公園とサッカー場を走り抜けて、いつもは通らない近道を無理矢理抜ける。

制服はすでに汚なくなっていた。

私は、誰もいない家の中で急いでジャージに着替える。

教えて貰った住所まで歩くには少し距離があったので、久しぶりに自転車に跨って貴の家に向かった。

散りばめられた落ち葉を、車輪がザクザクと踏み潰している。

枯れた葉っぱ。

そういえば、卓人は冬頃には学校を辞めると言っていた。

ひろみの出産予定は四月のハズだから、もしかすると同じぐらいに辞めちゃうのかな――

貴は私に自分のことを何も話してはくれないし。

まあ、卓人には色んなことを話してるんだろうけど。

気付いたら、“怖い”と思う気持ちが付き纏っていることにどうしようもなくなった。

乱れてる前髪。

途中、スーパーに寄ってリンゴを二、三個とミルクキャラメルを買った。
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