うそつきなライオン
馬鹿げてる。と自分でも思う。
そんなことは分かってる。
だけどあたしは、その美しい少年を拾ってしまった。
独り暮らしの我が家に着く。
マンションの住人に見られやしないか、少しドキドキしながら鞄の中の鍵を探す。
「あ!ライオンだ‥」
部屋の鍵を開けていると、不意に少年が呟いた。
「何が?」
「んーん、別に〜♪」
意味深な笑顔で少年ははぐらかす。
たいして気にも留めず、あたしは鍵を回した。
「これ、タオル‥」
「ありがと♪」
少年にタオルを渡し、洗面所に向かった。
…何してんの!?
あたし頭おかしい!?
ハァァ‥溜め息を吐いて心を落ち着ける。
よし、鏡の中の自分に頷き、部屋に戻る。
「…ちょっ、何脱いでんの!?」
「え?しないの?」
「なっ‥何を!!」
持っていたタオルで顔を隠し、少年の言葉を待つ。
「………ふ〜ん、ならいいや。」
ゴソゴソと、少年は着替え始めたようだった。
ほっと胸を撫で下ろし、タオルを顔から離す。
細身の筋肉質の体がなんとも美しい。