うそつきなライオン


馬鹿げてる。と自分でも思う。

そんなことは分かってる。

だけどあたしは、その美しい少年を拾ってしまった。



独り暮らしの我が家に着く。

マンションの住人に見られやしないか、少しドキドキしながら鞄の中の鍵を探す。


「あ!ライオンだ‥」


部屋の鍵を開けていると、不意に少年が呟いた。


「何が?」

「んーん、別に〜♪」


意味深な笑顔で少年ははぐらかす。


たいして気にも留めず、あたしは鍵を回した。



「これ、タオル‥」

「ありがと♪」


少年にタオルを渡し、洗面所に向かった。


…何してんの!?

あたし頭おかしい!?

ハァァ‥溜め息を吐いて心を落ち着ける。

よし、鏡の中の自分に頷き、部屋に戻る。


「…ちょっ、何脱いでんの!?」

「え?しないの?」

「なっ‥何を!!」

持っていたタオルで顔を隠し、少年の言葉を待つ。


「………ふ〜ん、ならいいや。」

ゴソゴソと、少年は着替え始めたようだった。


ほっと胸を撫で下ろし、タオルを顔から離す。

細身の筋肉質の体がなんとも美しい。

< 3 / 11 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop