うそつきなライオン
「みぅはさー、俺の何?」
あたしのお気に入りの抱きまくらを抱え、少年は言った。
「何…って」
「カノジョ?」
コテンと首を傾げる姿があまりにも愛らしくて、あたしは思わず「うん」と言ってしまった。
「やったぁ!」
そう言って、嬉しそうに笑う。
笑うとかわいいことを知った。
無邪気に抱きつく少年の体温を知った。
彼の匂いを覚えた。
あたしは、名前も知らない少年の「カノジョ」になった。