狼さんの好きな人
「すみません!!」


「普通に、俺の目の前をスルーして行っちゃったからびっくりしたよ。表に出ててよかった。ひよりちゃん、そのまま通りすぎてたら今頃迷子になってたよ。」


急いで、直也さんの元へ駆け寄ると…


「ごめんなさい…。考え事してて…」


そう言って、頭を下げて謝った。


「頭を上げてよ。別に怒ってるわけじゃないんだよ?」


顔を上げると、直也さんはふわっとした優しい笑顔で私の頭を撫でてくれた。


「…………。」


何だろう?
直也さんの顔を見てると、胸がキュッと締め付けられて…


ヤバい、何だか涙が出そう…。


「………ひよりちゃん。我慢しなくていいんだよ?」


え…?


そう思った時には、既に直也さんの胸の中にすっぽりと包まれていた。


「前…俺に言ったよね?『一人じゃないんだから…。一緒に、前向いて少しずつ歩いていきましょうよ。』って。そっくりそのまま返すよ。」


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