狼さんの好きな人
それに、モジャ男と付き合ってるのに別の男性に甘えるなんて…。


「ひよりちゃん…?」


私が、言いかけてやめたのが気になったのか、直也さんは抱き締めていた手を緩めて顔を覗き込んだ。


今、直也さんの顔を見たらきっと泣いてしまう。


慌てて、顔を背けると…


「いえ、何でもありません。私は、大丈夫。心配してくれてありがとうございます。それよりも、早く中に入りましょう。料理を教えて下さい。」


そう言って、門の隣にある通用口の取っ手に手を伸ばした。


「…甘えてくれないんだね。」


思わず振り返ろうとした瞬間、直也さんに後ろからギュッと抱き締められた。


「あ、あの…直也さん?」


「ひよりちゃんは、ズルイ。」


「え…?」


「ひよりちゃんは、俺の心に勝手に侵入してくるのに自分の心は閉ざしたままだ。俺に、侵入する隙間すら与えてくれないんだね。」


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