フォトグラフ
パタパタと2人分の足音が廊下に響く。
授業中なので校舎は静まり返っていた。
2人は、音楽室へは行かず、裏庭に行く事にした。
2人、いや、勇人、丈、皐月3人のお気に入りの場所がある。
先生達にもみつかる事なく、そこへ行く事ができた。
そこは、背を校舎にして、周りは大きな木や低木、花々が囲む秘密の場所だった。
大部分は日陰だが、少し日向の場所もあり、3人ぐらいなら十分余裕がある快適な秘密基地だった。
皐月がここにいるのでは、と少し期待していたが、皐月はいなかった。
謝る事もできないのか…。
背を校舎に預け、気持ち風を感じながら目を閉じた。
そんな勇人を見て、丈も黙って勇人の隣に座った。
勇人は先ほどの教室でのやり取りが思いだされて、ギュッと眉間に皺がよった。
もう許してくれないだろう…。
嫌われたよな…。
もう皐月と話せないのか…。
考えているうちに勇人は泣きそうになってきた。
考える事が辛くなってきた勇人は、風に誘われるように、眠りへと、意識をとばした。